放射線治療科は、2023年1月に放射線治療部門の新規開設に伴い新設されました。
メーカー最上位機種の放射線治療装置の導入と東大医局から非常勤医・医学物理士の支援も受け、先進のIMRTや定位放射線治療などの高精度放射線治療をより正確に、より短時間で行うことができます。
また、導入システムは、同室CT装置の設置なので治療計画CTと同等の高画質画像をイメージガイドに用いることが可能で、より正確な位置合わせをすることができます。
さらに、光学式体表面トラッキングシステム(Catalyst HD)や治療中のモニタリング機能により正確性と安全性をより高めることができます。
エビデンスに基づいた、より負担の少ない放射線治療を提供できるよう努めてまいります。
同室設置CT CT-Linacシステム
がんは日本人の二人に一人が罹り、五人に一人が命を落とすという国民病です。
がん治療には、手術による「外科療法」と、抗がん剤による「化学療法」そして、「放射線療法」の3本柱で成り立っています。
それぞれ単独で行われることもありますが放射線療法は、手術と併用した術前術後照射や、抗がん剤と併用した化学放射線療法など、がんの種類によって集学的に治療することで、より高い治療効果が期待できます。放射線療法(放射線治療)は、切らずにがんを治療するので、形態機能を温存できます。
また、体への負担が少ないのでご高齢の方、合併症があって手術が受けられない方でも治療が可能です。
強度変調放射線療法(IMRT)
強度変調放射線療法(IMRT)… 線量率(ビームの強さ)、照射野(ビームの形)、照射角度を自在に変調することで、治療効果を高めつつ副作用を低減させる、より複雑な照射ができます。医学物理士によるプラン作成・検証が必要なため、治療開始まで1週間程度の準備期間が必要です。現在では、放射線が出る部分(ガントリー)を回転させ多方向から治療をおこなうIMRT、VMAT(Volumetric arc radiation therapy)が主流となっています。
◆主な対象;前立腺癌、頭頚部腫瘍、消化器腫瘍など
画像誘導放射線治療(IGRT)
画像誘導放射線治療(IGRT)… 従来、体表面のマーキングでしていた位置合わせを、治療寝台上でレントゲンやCTを撮影したり、体表面画像をモニターしたりすることで、骨や腫瘍、正常臓器を目印にすることができます。
◆対象;放射線治療全般
体表面画像誘導放射線治療(SGRT)
体表面画像誘導放射線治療(SGRT)… 体表面の画像を可視光線でモニターすることによりリアルタイムでの呼吸の動きや、被曝なしでの位置合わせができます。
◆主な対象;乳癌、肺癌など
深吸気息止め照射(DIBH)
深吸気息止め照射(DIBH)… 主にひだり乳癌の術後放射線治療をする際に、深く息を吸って止めた状態で治療をすることで、心臓や肺にあたる放射線量をさげることができます。毎回の治療で息止めをするので、治療時間が5-10分ほど長くなります。
◆主な対象;ひだり乳癌、肺癌など
(体幹部)定位放射線療法(SRT・SBRT)
(体幹部)定位放射線療法(SRT・SBRT)… 1回あたりの放射線の強さ(線量)をあげ、治療回数を減らすことができます。通常分割の放射線治療よりも当てる範囲を小さく設定することが多く、位置精度は頭部で1mm以内、体幹部で5mm以内と、より正確に位置合わせをおこなう必要があります。
◆主な対象;頭蓋内腫瘍、肺癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、ほかオリゴ転移など
現在おかかりの医療機関から当院地域連携室にお電話でご予約をお願いします。
放射線治療科にて、放射線治療適応の有無や化学療法、手術療法との組み合わせについて各臓器の担当の先生と連携しながら診療を行います。初回受診時に担当医師からの紹介状および検査画像等できるだけ多くの情報のご提供をお願いします。
月曜、水曜、木曜、金曜 | 切通 |
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火曜 | 南谷 |
乳がん、前立腺がん、食道がん、肺がん、脳腫瘍、直腸がん、緩和照射など多くのがんに対して、担当科と連携して放射線治療を行っています。
左乳がんの放射線治療では、患者さんに息を大きく吸ってもらった状態で、息を止めている間に照射することで、乳房と心臓の距離を離して心臓への線量を低減する照射技法を行なっています。
また、通院の負担を軽減するために、エビデンスに基づいた治療回数の少ない放射線治療を積極的に取り入れています。
あらゆる部位を治療できる
治療には痛みはありますか?
放射線があたる時に、患部が熱くなったり痛くなったりすることはありません。
治療の中盤から後半にかけて副作用が起こることがありますが、ほとんどの場合治療が終わると徐々に回復していきます。副作用は放射線が当たる部位の皮膚の変化のほか、頭部で脱毛、口腔で口の渇き、味覚の異常、胸部で咳や息切れ、腹部で軟便や下痢などさまざまです。全身的なものでは、疲労感やだるさ、食欲不振などが起こることがあります。
治療に入院は必要ですか?
ほとんどの方が外来で治療を受けています。治療方法により多少変わりますが、治療時間はおおよそ15分〜30分くらいで、仕事を続けながら治療を受ける方もいます。
費用は高いのでは?
放射線治療の99%程度で健康保険が利きます。高額療養費制度も使えるため、高額な自己負担は必要ありません。
乳がん(16回) | 14〜16万円(3割負担の場合) |
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前立腺がん(IMRT20回) | 32万円(3割負担の場合) |
上記の他、初診料、再診料、検査料、薬代等が必要になることがあります。
切通 智己 / きりとおし ともき
所属 | 放射線科 科長 |
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出身大学 | 横浜市立大学(2011年卒) |
専門分野 | 放射線治療学 |
主な資格・認定 | 放射線治療専門医 |
主な所属学会 | 日本医学放射線学会 日本放射線腫瘍学会 |
コメント | 2023年1月に放射線治療部門の新規開設に伴い赴任しました。東大医局から非常勤医・医学物理士の支援も受け、高精度の放射線治療ができるようになりました。エビデンスに基づいた、より負担の少ない放射線治療を提供できるよう努めてまいります。 |
牧田 幸三 / まきた こうぞう
所属 | 副病院長 兼 放射線科部長 |
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出身大学 | 東京大学(1984年) |
専門分野 | 放射線診断学/Interventional Radiology(IVR) |
主な資格・認定 | 放射線診断専門医 IVR専門医 マンモグラフィ認定医 |
主な所属学会 | 日本医学放射線医学会 日本血管造影IVR学会 神経放射線学会 脳血管内治療学会 |
コメント | 地域医療における放射線診断学、治療学の実践を目指します。 |
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