大動脈弁狭窄症について

大動脈弁狭窄症について

大動脈弁狭窄症とは

大動脈弁は心臓の左心室と大動脈を隔てている弁です。大動脈弁狭窄症とは大動脈弁の動きが悪くなり、十分に開閉できなくなった状態で心臓から全身に血液を送り出しにくくなります。加齢や動脈硬化の影響で大動脈弁が硬くなることが原因の一つです。

高齢化に伴い、大動脈弁狭窄症の患者数は増加しており、国内で65歳以上の大動脈弁狭窄症の罹患率は23%と推定されます。最も頻度の多い弁膜症疾患です。


大動脈弁
正常な弁
狭窄

(画像引用:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html

大動脈弁狭窄症は軽度なものでは自覚症状に乏しく、聴診での心雑音聴取や他の病気の検査を契機に診断されることもあります。重症に進行すると胸痛や失神、心不全症状(息切れ、呼吸苦など)が出現します。突然死に至ることもあり、症状出現と生命予後は胸痛が出現すると5年、失神が出現すると3年、心不全をきたすと2年とされています。

大動脈弁狭窄症治療について

大動脈弁狭窄症の治療は手術で大動脈弁を人工弁に取り換える手術(大動脈弁置換術)を行いますが、胸を開ける手術のため大きな創となること、手術中は人工心肺装置を使い、心臓を止めることなどが身体へ大きな負担となります。そのため、高齢の方や他に病気がある方などはリスクが大きくなります。そこで開胸手術リスクのある方も受けられる治療としてTAVITranscatheter Aortic Valve Implantation:経カテーテル大動脈弁植え込み術)があります。TAVIは日本では201310月から保険適応となった新しい治療法です。当院も20244月にTAVI実施施設に認定され、練馬区初のTAVI実施施設となりました。

手術

(画像引用:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html

<開胸手術>

胸の真ん中にある胸骨を切るか(画像左)、右胸の肋骨の間を切り(画像右)、心臓を直接切開して大動脈弁を人工弁に取り換えます。手術中は心臓・肺の機能を代行する人工心肺装置を用いることで、一時的に心臓を止めて手術を行います。

開胸手術

(画像引用:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html

<TAVI>

足の付け根の血管(大腿アプローチ)や心臓の先端(心尖アプローチ)、肩の血管(鎖骨下動脈アプローチ)、大動脈(直接大動脈アプローチ)のアプローチ方法があります。多くの場合、経大腿アプローチで行いますが、術前の血管状態次第でその他のアプローチ方法を選択する場合もあります。TAVIで用いる人工弁はバルーン拡張型のSapienや自己拡張型のEvolutがあり、先ほどのいずれかのアプローチ方法でカテーテルを用いて人工弁をご自身の大動脈弁の内側に留置します。

開胸手術に比べ、傷も小さく手術時間も短いので身体への負担が少なく、早期の退院、社会復帰が見込めます。

当院でTAVIを受ける患者様へ

TAVIアプローチ

(画像引用:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html

(文章参考:心臓弁膜症サイト https://www.benmakusho.jp/about/benmakusho.html

(文章参考:2020年版 弁膜症治療のガイドライン https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf

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