まずは健康診断の受診やかかりつけ病院で聴診をしてもらってください。
心臓の雑音(心雑音)が聴取されましたら、毎週木曜日午後の心臓弁膜症外来に紹介状を書いてもらいましょう(初めて来院される方|練馬光が丘病院 (hikarigaoka-jadecom.jp))。精密検査を行い、心雑音の原因を探ります。
またかかりつけ病院にて、大動脈弁狭窄症含めた心臓弁膜症と診断されている方も当院心臓弁膜症外来もしくは循環器外来に紹介状をもって受診してください。重症の弁膜症の方だけでなく、軽症の方でも受診していただいて構いません。弁膜症は年齢と共に進行する病気です。定期的なフォローをさせて頂き、重症化させない専門的なアドバイスや薬剤調整をしながら、かかりつけ病院と連携していきます。
弁膜症外来もしくは循環器外来で治療が必要な大動脈弁狭窄症と診断されましたら、患者様それぞれに最善な治療を選択するための術前検査をさせて頂きます。
→現在の病状、全身の状態を評価する基本的な検査です。
→肺の状態、心臓の状態を評価する基本的な検査です。
→心臓が鼓動を打つ際の微弱な電気信号を波形として記録し、その波形から心臓の状態を把握する検査です。治療すべき不整脈の有無や心筋の状態を侵襲なく知ることができます。
→心臓に超音波をあてて、その反射波を画像化することにより、心臓をさまざまな断面で観察し、侵襲なく心臓の状態を評価することができる検査です。心臓の構造や動きを視覚化、数値化し、心臓のパワーや治療が必要な弁膜症などを知ることができる治療方針を決めるうえで非常に重要な検査です。
→人工弁を留置する部位(大動脈基部)の詳細な評価、人工弁を持ち込むための通り道を評価するために必要な非常に重要な検査です。造影剤を点滴して検査を行います。また冠動脈(心臓へ血液を供給している血管)の評価も同時に行います。冠動脈に狭窄や閉塞が疑われる、あるいは高度な石灰化などにより十分な評価ができない場合には入院してカテーテル検査を行うことがあります。
→心臓の手術をうけるにあたり支障となりうるような頭の中の病気がないかの確認、術後に脳梗塞などのトラブルが起こった際の手術前との比較、のために行う検査です。その検査結果によっては頭部MRI検査という更に詳しい検査が必要となることもあります。
→心臓手術前に口腔内環境をチェックすることは人工弁への感染を予防するうえで、とても重要とされています。当院では、普段近隣の歯医者さんに定期的に通院している場合でも、この目的のために心臓手術前の患者様には、全員に歯科口腔外科を受診していただいております。
これらの検査・評価を速やかに1-3週間程度で終了させ、再度外来にて結果の説明を行います。
治療方針につきましては、上記の検査結果を踏まえ、循環器内科医、心臓血管外科医、麻酔科医、放射線科技師、看護師、臨床工学技士、心臓リハビリテーションなど多方面の循環器診療に特化したスペシャリストで構成されるハートチームで検討させて頂きます。病気の状態だけでなく、患者様の人となりも踏まえたベストな治療法をご提案させて頂けるよう努めます。
これらの検査の結果を踏まえて、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI:タビ)の実施が可能かどうかを判断します。タビは必ずしもすべての患者様に適応があるわけではなく、さまざまな観点(人工弁を留置する周囲の形態・大きさ、留置によりおこりうる合併症の可能性など)からタビ治療がむしろ危険性が高いと評価されることもあります。従来の開胸による大動脈弁置換術の方が推奨されることもありますので、検査後の外来で、それぞれの治療のメリット、デメリットをご本人さま・ご家族様にお伝えし、相談の上、最終的な治療方針を決定して参ります。
タビの方針となり、患者様本人、家族の方々より治療にご同意いただけましたら手術日を決定します。当院では、タビ治療は原則月曜日に行っています。前週の金曜日に入院し、手術日までに手術の説明や手術前のリハビリなどを行います。手術説明の際には、ご家族も必ず同席をお願いいたします。
なお、入院・手術の日程は、患者様の重症度に応じて変更させていただくことがございますので、あらかじめご了承ください。
手術日は朝9時30分に手術室に入ります。タビは下の写真に示す手術室で行っています。透視装置で体内のワイヤーやカテーテルなどを大きなモニターで見ながら手術操作を進めていきます。タビの手技の詳細については、入院後に改めて担当医より説明させていただきます。
手術室に入りましたら患者様の本人確認を行ったのち、全身麻酔が開始となります。麻酔導入後、気管挿管や一時的なペースメーカーの留置など行い、準備が整いましたらタビが始まります。タビの手技時間は1-3時間程度です。手技終了後は、手術室で麻酔から醒めた状態で集中治療室へ戻ります。
リハビリは手術翌日から始まり、手術翌日~翌々日には集中治療室から一般病棟へと戻ります。その後、術後3日目程度で心臓エコー検査を施行し、人工弁の状態や心臓の動きなどに問題がないことを確認したうえで、術後5-7日目には退院となります。
退院後は当院循環器もしくは心臓血管外科外来でフォローします。
フォローは主に心エコー検査で、術後3か月、術後半年、術後一年、その後は年1回程度で施行させて頂きます。処方については、状態が安定していれば、近隣医療機関、いわゆるかかりつけ医さんに依頼させて頂きます。
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